第四章:『体の使い方のミスに気づき、改めよう』 - コペル からだとの会話

第四章:『体の使い方のミスに気づき、改めよう』

心体融和道のベッドに僕とフランクは腰掛けて話をしている。
もう日が暮れていく。フランクは今日一日の仕事を終え、床をほふく前進している子供を眺めている。まだ生後1年経たない女の子だ。楽しそうに、フランクの足に絡み付いてきゃっきゃとはしゃいでいる。がじがじとフランクは足をかまれて悲鳴をあげている。


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フランクの施術を、僕は無事に受けることができるようになるはずだった。
だ けどここは隠れた名店で、遠方からも多くのお客が訪れてくる。そしてひとりひとりのお客を大事にして丁寧な仕事をしている。すると一日にそんな多くのお客 を受け入れることはできない。「残念です。半年は予約を受け付けることはできないです」とフランクはWaiting Listを見せてくれた。するともう 半年かそれ以上の月日を待たされていることがわかった。僕ばかりムリをいって願い出れるほど、押しが強いほうじゃない。それにフランクはそのようなムリな 願いは受け入れてくれるはずもないことはわかっていた。

待てばいつか自分の順番はめぐってくるだろう。だけどそれがいつになるかフランクもわからないと、すまなそうにいった。お客の中には症状が僕以上に厳しい人もいるというからだ。

僕はお願いして3ヶ月もすれば、見違えるほどフランクが僕の体をよくしてくれていると勝手に想像していた。登ってから急降下したような気分だ。

その僕の様子を見てフランクはいった。
「コペル。今、君は学校が少し手すきになるからっていっていましたね」
「えぇ。数ヶ月は体を治すために、それに力を注ごうと考えていたので、大学院進学を半年後にしてもらえるように願い出てしまったんで」



「OK!では、こうしよう」
フランクは、ノートを取り出し『体の操縦法』『施術のノウハウ』『こころの操縦法』と書いた。


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フランクは熱い言葉で語った。「多くの日本人は、体の使い方のミスを気づいていない。そのことを私は悲しく思っています」そしてフランクは一枚の写真を見せてくれた。やせた顔色が悪い男が部屋の中で笑顔でピースしている。よく見てみたらそこには点滴が置いてあった。そして見覚えがある顔だ。そう、この写真の男はフランク自身だ!

フランクは語り始めた。
フ ランクは体が丈夫で格闘技が好きで、柔術をカナダの故郷でしていた。それがなにごとも熱中派で、いつしか自らリングの上に立つような夢を抱いていたそう だ。ヒョードル(Fedor Emelianenko)という格闘家に憧れ、昼夜忘れてつらい練習に明け暮れていた。そのときにどこかを怪我をしたわけでもないのだが、全身が急に動かせなくなってしまったという。腰痛や関節痛は昔から背負い込んでいたが、他の格闘家も五体満足な奴などいないことを知っているから、そんなことで音を上げるのは許されない。そうやってムリにムリを重ねて蓄積したダメージが一気に吹き出たのだろう。多くの医師に助けを求めたが、いずれ現代医療では当時のフランクの体を治してくれるようなことは想定されていないということを思い知らされただけであった。

それからフランクは、たまたま「フェルデンクライス身体訓練法」というフェルデンクライス・メソッドや「センサリー・アウェアネス」などの本に目がとまった。そしてそれまでは馬鹿にしていたカイロプラクティックオステオパシーなどの療法にも、自分の身を知る手がかりの一つとして取り入れるようにした。それから彼はそれらの分野を学び始め人体の奥深き世界へいざなわれた。
そうするプロセスで背骨がS字に折れ曲がっていたのが、以前よりも美しくまっすぐ伸ばせるように体が整い始めてきた。そのころには当初の肉体的な不具合はほとんど消えうせていたという。
大きな健康的なハンデを背負い失墜のそこから、フランクも這い上がってきた男だということだ。

日本に来たのは東洋のタオの世界に関心を持ち、たまたまYoutubeで関連映像の紹介から合気道の映像をみてからだった。大男が子供ほどの身長だろう男に、いいように投げまわされている。その妙技に惹かれたからだ。
フランクは感覚や感情にすぐれた人間で、来日後に始めた禅は日々かかしたことがないという。

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コペル。君は体の使い方を見直すべきだ。そうすれば6割はそれで体調は改善できるはずだろう。腰の痛みも半減するだろう。背骨のゆがみも半減するだろう。体力も倍ほどはついてくるはずだ。ただし受身になって人から教えを待つのではなく、自分でを自らの体をコントロールできる主人になれたら、の話だ」

「どうだい、コペル。少しならば。そうだな、週一度で5回だけ私が君のために講習をする時間を割こうじゃないか」

「フランク。僕には、自分の虚弱した体が、動き方がかわるだけでそなにも改善するとは信じることはできません。悔しいけど、どうしても過去おきていた苦い経験が積み重ねられ次から次へと思い出してしまい、くじけさせてしまう。こんな自分を僕は大嫌いだが、どうしても怖気づいてしまう」そういって下を向き唇を噛みしめた。

フランクは僕の額と後頭部に手を当ててつぶやいた。「私はコペルが新たな人生をつかみとろうとしていることを知っている。その手助けをすることは、以前から決まっていたような気がしてならない。さぁ、まずは君は、君が自分自身に与えた呪縛の呪文を解くことから始めよう」
「想像してごらん。今より丈夫な体になった自分を。細部までリアルにだ。どうだい、できるかな?もしイメージできたら右手をあげて」

僕はその言葉を聴いたときに、脳裏に浮かんだ丈夫な体はというと。目の前にいるフランクのような体だ。いったいどのようにしたら、やせ細ってベッドに横たわっていた男がたくましく生まれ変わったのか。それが知りたかったし、僕もそうなりたいと感じたんだ。おそらくフランクが僕に見込みがあると太鼓判を押してくれるんだ。僕自身を信じることはできないが、僕はフランクは信じられる。
そして右手をあげた。

「OK!それではこれから毎週のこの時間に、私はコペルに、君の体を理想系に近づけるためのコーチをしてみようじゃないか」


「そうそう。忘れるところだった。コペル、今見ている自分の姿をいつでも思い出せるようにしておこう。左手の親指、人差し指、そして中指の三本の指を合わせてみて。そしてこう念じるんだ。『私はいつでも左手の指を合わせたときに、今見た映像を即座に思い出すことができます』ってね」


僕は、急降下した感情が急上昇へ変わった。フランクの特別なコーチがあれば、今までの僕には気付けない大切な視点を伝えてくれる。暗闇の中で小さなろうそくの火をともし周りを照らされるだろう。ただ忘れてはならないことがある。これから教えてくれるフランクのアドバイスは、彼が病床で一人、苦しみながら解決してきた血のにじむ努力があって適えられたことだということを。


2010-03-12 | Comment(0) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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