第五章:『ボディスキャニングの目覚め』 - コペル からだとの会話

第五章:『ボディスキャニングの目覚め』

約束の一週間目がきた。第一回目の講習が始まる。



nezujinjya.jpg
二人で根津神社境内を歩く。水の流れに仕切られた結界を過ぎ、神域の手前に石でできたベンチがある。二人で腰掛けフランクが口を開いた。
「体のセンサー機能を活性化させて、取り戻し生きた動きを取り戻せ!というのが今日のメインの教えだ。そして今日のこの教えがもっとも大切な教えだからこそ、今までの自分の考え方のケガレを祓うためにここで教えることにする。それにしてもいつきても強い力を感じられる神社です」
さっきまでルンルン気分だったフランクが、いつになく真剣な顔つきに変わりました。戸惑いながらも、僕は口を開いた。
「体のセンサーというと、センサーの大本って脳科学というところまでいきつくということですか?最近は脳科学の本がたくさん出版されているから。僕もおそらく10冊は読んでますけど」
「コペル、脳科学の本も、学ぶのは結構だ。ただね、参考にはなるが、それだけでは君の体の中のダメージを自らが見つけ、浮き彫りにし、それを取り除こうとするには難しいのかもしれない」
そしてフランクは話を続けた。
「いいかい。世の中の出版されている本はね。その著者が自分の”体感覚”で重要と思うものを抽出したものだ」
「”体感覚”ですか。頭で考えたことだけでなく体で感じたことも含まれてかかれているのですね。面白い視点ですね」
フランクは話を続けた。「参考になるところはたくさんあるから読んでおいたほうがいい。でもそれを読んだだけでは使い物にならなくて、同じジャンルの本を繰り返し買っている人ってみたことはないかい?」

「そういえば、僕はフランクの施術を受けてから、ずいぶん整体やマッサージ関係の本を図書館で借り集めて頭に詰め込んだんです。僕は体が使えない変わりに頭の使い勝手は普通ぐらいにいいから、本は2度も読めばほとんど記憶できるんだ」
僕はかばんの中からディープ・ティシュー・マッサージの本を取り出した。

「だけど。施術の本は具体的な内容が書かれているはずなのに、僕にとって人間の体は研究した経験がないため未知のもので抽象的なディテールを削り取った抜け殻のようなものにしか見えていない。フランクの皮膚の下を見透かして問題点を浮かび上がらせる視点を知っていたから。問題点がまったく見つけられていない僕が、このようなマッサージをしてもいいのかどうか当惑するばかりだった」

「コペル。やはり君は施術の世界に興味を持ち始めたようですね。。。」フランクが右の口角をあげてニヒルに笑い話を続けた。

「施術の本も一般書で多く出版されている。それらは一般書店で、いまはいくらでも買えるさ。それに専門書でさえもAmazon.COMで買えば大都市以外に住む人も数日待たずして手に入るだろう。つまり施術をする上での情報格差はプロの施術者も小さな小学生でも大差なくなってきている。そうじゃないかい?」

「確かにそうだと思う。都立図書館にいけば、大半の手技療法の本もあったよ」

フランクが語る。「情報は情報に過ぎない。吸収してからどう使うかだ。使えない情報は、いずれ捨て去られる。
施術を学ぶ力があるものには、人体の機能を熟知したうえでだ。そのような者が施術の良書持てば、本の行間から著者の体験した体感覚がよみがえるだろう。一般書や一部の専門書の本には、そうなるためのノウハウが明確には書かれていない。だから頭のいいコペルがいくら施術書を読んでも、お得意の科学技術書を読むほどにはイメージがとらえきれない」

「情報はいくらもっていても役に立たなければダメってことですね・・・」

「ダメとはいわないけど。。。
たとえば音楽家は、バッハの曲を聞いたときにアナリーゼという作曲者の生きた時代背景や曲を書いたときの状況を理解するという。曲を演奏するときには自分が理解したバッハと語り合っている。そうなるとそこにあるのは音符の羅列じゃないんだ。
でも私のような聞くだけの男にはそこまではわからないからな。もし曲をピアノで弾こうとしても、技巧までは読み取れるが、それ以上の厚みはだせないんだ」

「同じ楽譜を見ても理解の深さが違うっていうことですか?」

「そういえるだろう。情熱的にがんばっている人は、観ているものの深さが、一般の人とは明らかに違ってくる。それが、よい職人といわれるものだ。こだわりの職人は、促成栽培的にできるものじゃない。わかるだろう?」

「はい、そうだと思います。今の時代では、すたれず活躍し続けられる職人は、少なくなりましたが。。。」

「いいものをつくる職人は、お客が手にすれば喜ぶような工夫をたくさん織り込んでいくものだ」

「長い時間をかけ、深く、多角的に学んできた。そうじゃないといい職人にはなれないって、小さいころに遊びに行っていた町工場のおじさんがいってた」



フランクは語気を多少強めてこういった。「でもね。自分の本来の体を取り戻すために、君はそこまでする必要はない。とにかく私のいうことだけを集中してエクササイズし、課題をこなしてほしい」
「そうですね。僕にはそうなれる自信がないから。専門的な本を多く読み込むのは好きだから問題はない。だけど決定的にフランクと僕が見ている世界が別物のように感じている。ひょっとして専門書を僕がひとりで読んでいても、見えてこないものがあるんじゃないか?」

「そうだ。察しがいいね。関節をまげて伸ばしてテストをするような整形外科で利用するチェック方法もある。それらは十分学ぶ価値のあるものだ。プロになるものは絶対に身につけておかなければならない。だけど、それをしていると専門的すぎて覚えることは星の数ほどのように、君は感じてしまうだろう。それも、もうひとつの独学を手軽にできなくなる理由なのだろう。もし私が民間医療に関心を持って専門書を初めて読んだとしたら、コペルと同じことをいっていただろう。だから、少し違ったものの見方を伝えていきたい。そこには体内に意識をめぐらせて、五感の延長した感覚器官の発達が必要だろう。秘められている内部感覚という感覚器官を開発していく。これが今週のコペルへの課題だ」
「内部感覚って、白隠和尚の内観ということですか?自分のこころの内側を見つめていくという修行があったような覚えがあるなぁ」
「それもあるね。でも私たちの目的は?こころの修行も大切だけど、こころはつかみどころがない。フォーカシングという心理技法では、フェルトセンスという意識でこころや感情の形や量や色などを感じ取って表現していくだろう。そのようなものもいずれは必要になる。だが、今はその前にしなければならないことがあるんだ。徹底的な自己観察をするエクササイズだ」
「それはきっと先日フランクが言っていたフェルデンクライス・メソッドのようなエクササイズのことだね。僕もあれからすぐフェルデンクライス・メソッドの『フェルデンクライス身体訓練法』という本を読みました。実際にそのとおり紹介されていたエクササイズをしてみたから、フランクがなにを言おうとしているのか薄々わかるような気がする」
「さすがコペル。モーシェ・フェルデンクライスは柔道をしていて体を壊し当時の西洋医には見放されたが、独自にヨガなどのエクササイズをもとにして体調を取り戻したという。私はそのことを聞いて自分もそうなりたいと必死に繰り返しその本は読み返していたよ。そして多くのことを学んだんだ。それならば話は早いな」

otomeinari.jpg
フランクは根津神社の脇に在する乙女稲荷のほうへ進む。多くの赤い鳥居が奉られた、少し高台になったところだ。僕についておいでと手招きをした。そこは少しうっそうとした感じ。僕には何か霊的なものを見たりできる感覚はないが、たまにお寺やお墓にいったり、事故現場を通ると体がいきなり重くずっしりした感じになることがある。だからあまり怖いところにはいきたくないのだが。
フランクはこの地を聖地という。ときどき仕事が終わった後にこの場へ足を運び瞑想をしているそうだ。フランクは乙女稲荷の社殿横にある狐穴があったのかもしれない穴をふさいだところで手を合わせて小声でつぶやいていた。「この青年は、これから自らの無明を断ち、心身を取り戻そうとしています。どうかご加護をおあたえください」すると瞬時にその場の空間の重さが変わったように感じられた。体が少しだけふわりと軽くなったような。今まであまり感じたことのない感覚だけど、不安感はない。
「それではここでは他に参拝の方々がおいでになるだろうから長い時間を割くことはできない。君からの質問は一切なしだ。いいかい?もし私がいっていることが気に入らなくとも、ここだけの話として、そういう考え方もあるのだろう程度で聞いておいてくれればいい。まずは聞いて受け取ってほしい。あとで取捨選択しても遅くはないはずだ」そういって、僕の頭から手を離した。

「わかりました。お願いします」
「目を閉じて。これから私が君の額と後頭部に手を置く。少し眉間のところが圧迫感を感じるかもしれない。だが大丈夫だ」
「あっ、本当だ。フランクがいうとおり、ぐるぐる回転しながら押し込まれているような感じがする。この状態はフランクにもわかっているということなのか」
「黙って。もしなにかリアクションをとりたいときは、軽く右手をあげる程度にして」
「・・・・・了解」


フランクがいう。「まずは両手を頭を挟むように耳の上に置いて、聴覚のボリュームを落とすんだ」
さっきまで周囲の参拝する人々の視線やざわめきなどが気になっていたが、視覚と聴覚のボリュームが落ちるにしたがい気にならなくなってきた。

「はじめに。解剖学の本を眺めたとき自分の体の内部とオーバーラップしたほうが面白いと思わないかい?自分の体内感覚を蘇らせればインナー・ヴューは誰だってもっているものだ。小さな単細胞生物のアメーバさえも目がなくとも体内の状態を感じ取る器官をもっている。そして体の外を感じ取る視覚や聴覚や触覚と呼んでもよいような器官だ。人体内部に、無数の独立したアメーバが共存していると想像してみて。細胞のひとつひとつが情報を確実につかんでいる。体の表面近くの情報をつかむ部分もあるだろうし体の中心近くの深い部位の情報もつかんでいる。すべてそれらの情報は、常に共有されたものと考えてくれ。本当は違うかもしれないが”脳”が、神経を通してすべての体内情報を把握できるように作られているとしよう。ここで大切なものは五感よりも原始的な細胞一つ一つが情報処理をする能力があると気づくこと。そしてその力は目に見える体表部ばかりにあるわけではなく、背中にもある。内臓のなかにも、筋肉の中にも、それに骨のなかにもだ。そうであることをイメージして」
僕は右手をあげようとしたが、その手をわからないよという感じで人差し指だけを側頭部に近づけて「あれぇ〜。どういうことかなあ」というしぐさをした。

「そうか。それではコペルはマトリックスという映画を見たことはある?」
僕の右手はこくりと、うなづいた。
「OK!そのときにマトリックスの世界がすべて数字で空間やすべてが表現されていたシーンを見たことだろう。人間もすべてデータで描かれてたよね。そのデータというものは体の表面だけのデータではないんだ。体の奥まですべてデータで表記されているんだ。そして現実の私たちもすべてデータで情報を描けるとしたらどうだい?体の奥の部分のデータが抜け落ちているようなことはありえない。体の隅々がデータでぎっしりと表記された宇宙だと思えばいい」
僕の頭は混乱中。やっぱりフランクは、とらえどころがない。ついていけるかちょっと不安。。。
「人 体を構成する原子レベルまで見ていけば、データの並び方にはフラクタルで描くことができる、ある種の計算式があるようだ。一本の樹木が成長していく過程を コンピュータで条件設定してやれば、かなりの精度で求めることができるだろう。樹木のフラクタル次元は1.3〜1.8。自然界のフラクタルを複雑系の視点 で考えればそういうことだ。人間も自然界の一員。私たちが発生した卵のときから今に至るまで、フラクタルの条件がある程度まで当てはまる。その卵からはこ んな人間になるという宿命みたいなものがあるのかもしれない・・・・・。

あっ、脱線してしまった、すまない」

フランクは小さく咳払いをした。
「話を元に戻そう」

「これからしてもらいたいことは自分の体をCTスキャンで幾層も写真を撮ってみるような感じのスキャニング・トレーニングをしてもらい、自己観察力を深めようということなんだ」
「簡単に言えば、スイカを買ってきて中身を探るとき、包丁で二つに割るよね。すると実が詰まっていてとかすかすかになっているとか様子がつかめる。それと似たようなことを自分の体でやってみたい。もちろんCTは使えないし、包丁で切るのも、なしだ。先ほど内観という言葉を使っていたが、体の目的の部位へ意識を向けることから得られるセンサーの力を応用するんだ」

「ではまずちょっと下準備をしよう」

「軽く肩幅に両足を広げて、神様にお願いをするときみたいに両手を鼻の高さ当たりで合わせて。そう。そして両手をぐっと強く押し合ってみて。このときのお腹の状態は胆力がついた下半身が安定した状態だ。お腹の部分はその状態のままをキープして。手はもう緩めて下にゆっくりおろしていい。OK。次に左右の顎の緊張を緩めて、舌の緊張を緩めて、眉間に力を入れないで、まぶたとまぶたの下の眼球の力をリラックスさせて。いいぞ。目は半眼といって、軽く閉じるでもなく開くでもなくを保って。それから頭上の30センチ上空、そして30センチ後ろに下がったところから、自分を客観的に眺めているようなイメージを描いて」

いわれたとおりにしていると、いつもと比べると楽に首筋や背筋が伸びていく感じがしてきた。そして僕の背中をイメージの僕が見つめているような気分で、背中のことなんかいつも考えたこともあまりなかったのに、なにかむずがゆい感覚が現れるようになった。
「ここでたとえば今、コペルの右耳に意識を集中して。もし集中しづらいなら、手で右耳を触ってもいいよ。右耳の形状を手の指はどう感じたか?暖かさはどうか?どれほどの固さかやわらかさか?なにでできているような気がする?その他、自分で右耳とその周辺の関係性をどう表現できるか、いくつも想像できる限りのアイデアで把握してください」

isiki-syuutyu.jpg
僕は思った。耳って冷たい。そして外耳の形を指先でなぞって形状を確かめたのも初めてだった。僕の耳は、こんな形だったのか・・・。
右耳に意識を向けていると、右耳の聞こえがよくなっているようだ。
呼吸をするたびに耳が動いている!そういえばフランクはさっき、細胞の一つ一つが高度な五感を備えているといっていた。
そのひとつひとつの細胞の五感を全開にして感じ取ったらどうなるだろう。・・・・。あ!耳が熱くなってきた、かゆい。ひやぁっ。
そしてかつて自分を取った写真の絵がもとになっているのだろう、僕が思い描いた頭上から僕を客観視している意識から耳の色が伝わって見えてきたぞ。
僕は耳鳴りがいつもしていた。そのせいだろうか、耳の周囲に黒い煙のようなもやが感じられるのだが。フォーカシングのフェルトセンス的な漠然としたモヤッてる感じなのだが。
フランクが言った。「もし黒く煙が立ち込めているようなら、その煙は体の外に返してあげて。その代わりにきらきらときらめく光子がその部分にまとわりついて光りだすイメージを思い描いて」

素直にそうイメージしてみたら、自分の耳がからっぽの軽さになり透き通った感じに変わっていったようだ。そして時期に緊張が緩み、萎縮気味だった部分が広がるような心地よさが感じられる。

フランクの次の指示。

「私は、これから指を10秒に一度、ぱちんとならします。そうしたら次にコペルが意識する場所は、右耳より3センチくらい中に入ったところを、今と同じような要領でスキャニングしていってください。ちょうど中耳炎になるような部分のことですね。そして次のもう一度、指をならしたら、もう3センチ奥を。その繰り返しです」

パチンッ。

不思議な感覚だけど、僕はありありと耳の中の様子が感じ取れた。空気がその耳の穴のドームの中に通っている。そしてくるくる回っている感じのかたつむりも見えてきた、ある程度湿り気があるから虫などは住みやすい場所だというが、嫌なにおいをだして住まわせないようにしているそうだ。そんなことを思い出したりもする。産毛のような毛が生えているな。そんなことを考えているともっと聴力が強烈に情報をキャッチし始めて、右の頭半分が耳ばかりになったような気がした。

パチンッ。
今度は眼球に意識が向いた。すると眼球がずいぶんいびつな形をしているような映像が見えてきた。眼球の網膜近くの部分が今感じ取れている中心だ。眼球の奥が強く疲労していて膜状の組織がただれているように感じられた。ちょっと嫌なものを見つけたような不安な気持ちになる。そうだ、先ほど不安な部分を外に出し切って、光子をそこに満たすといいというのは今回も同じことだろうか。やってみよう。・・・・。すると、先ほどより、眼球が厚ぼったくした感じが薄まり冷えてきたようだ。眼球の裏手のソケット部分が空間が広がっていくような感じがしてきた。

パチンッ。
今度は鼻の奥のほうだろう。そこにどのような軟骨があるか。鋤骨という折れやすい骨がここにあるというが、それの形状が鼻から息を吸い込むときイメージできる感じだ。鼻のなかの奥の空洞が広がっていく。そして鼻の奥が目の涙腺近所でつながっているというのも、空洞が広がるにつれてリアルに感じ取れてきた。

パチンッ。
今度は左目の奥当たりだろう。右目の眼球よりもここは様子はいい。疲れていないような感じがする。だが左目の眼球の左耳に近いほうにいやな血行不良のような部分を感じ取れている。チリチイと電気を通した電線が小さなショートを起こしているようだ。そのノイズに不快感を覚える。どうやら左の顎関節当たりの固さが問題なのだろうか。下に強く引きおろされているような牽引がきつい。

パチンッ。
今度は左耳の中耳当たり。だいたい右耳と同じ感じだが、目と同様に顎関節による牽引の影響で下に引きおろされたいやな感じがある。

パチンッ。
今度は左耳の外耳。慣れてきたのか先ほど思い描いた項目以外のこともチェックしだしている自分がいる。痛みや、かゆさとか。それに耳にかかった過去の衝撃的な言葉もそこに残っているように感じられるし。外耳のサイズをノギスで正確に測り計測している感じ。測るとわかるとは、理系の習性か。


パチンッ。
・・・・・。あれ?そこはもう僕の体の外なのに。変だな、なんだか単なる空間でしかないところなのに僕の意識がそこに集まっているためか、空間に質量がある!手で触って触れるような感覚があるような、変な感じがしている。これは、どういったこと?!

パチンッ。
えっ。もう、やめましょうよ。気持ち悪い、なんだか自分の体の外のものが自分の体の内側の感覚の延長として同質に感じられている。別に、手でそこを触れているわけでもないのに、僕の触手はそこで何かを探し当てて分析しようと注視しているようだ。

isiki-syuutyu2.jpg

フランクがにこやかに。「さぁ。今日伝えるべきことはもうすべて伝えた。これでおしまいです!」

「あとは自宅で体を上から下へ、前から後ろへ、上前から下斜めとかあらゆる方向に意識を張り巡らして、体の内部の感じる力を養っておいてください」
「たとえば頭のてっぺんから会陰を通り越してまで、そしてその逆の会陰から頭のてっぺんまで。みぞおちから腰部にあるツボの命門までとか。体の表面より5センチ奥を満遍なく体のいたるところを意識をむけてみるとか。体の中心を通る正中が重力線に沿うようにすると、体の左右の傾きが修正できるだろう。左右の腕や脚や腰部、胸部や腹部、臀部などの利き側とそうではない側の様子を見つめたりするのもいい試みだ。または体の中の臓器には腎臓や肺など左右対になっている臓器のバランスを見つめるという内臓感覚も持っておきたい。あとはコペルが思いついたすべてのパターンで自分の体を内部感覚で感じ取り続けるんだ」


「本当は人間はこの内部感覚に優れていた。だからこそ腹が立つとか内臓感覚が含まれた漢字が多く存在してもいるだろう。腹が立っているとき、CTで腹部を撮れば本当に内臓が縦に並んでいるからね。昔の人は、現代人以上に、この感覚を使いこなしていたんだろう」

「このような自分の体に意識をくまなく向けて関心を深めたリラックス状態を繰り返し体験してくと、施術を受けて体がちょうどいいところに移動した後に、またいつものゆがんだ状態に引き戻されていくということが少なくなります。それにこのような内部感覚を豊かにしてから人体解剖図を見ながらすりよせて学んでいけばいい。感覚投影をしながら読み解けば効率よく勉強できるはずだよ」


「そして今までは腰が痛いとか痛みが出ている患部しか感じ取れなくて、そこばかりが気になり不安がのしかかり恐怖してきた自分から切り離されることを感じ取れるようになるかもしれません。痛みが出た患部は、つぶされたペットボトルのへこんでしまった部分でしかなく、その部分を意識を集中すればどうなるか察しがつくことになるだろう。ペットボトルがへこんでいるときは、出っ張った部分が生まれるわけですから、その出っ張っているところを軽く押してあげるようにしなさい。そうすれば”ペコッ”と音を立てて元通りに修復するものです。内部感覚が豊かになれば、どこが自分の体の出っ張ってしまった部分かがわかるだろう。そうすればそこをゆするように、伸ばすように意識を向けてあげるようにすればいい。そうすると改善が早まるようですから。へこんでいるところをもっと強く押してはいけません。それは不安や緊張や恐怖という意識をかければ、へこんだ部分はもっとキュ〜ゥって圧されゆがみが増す。ゆがみが増すから固まりが強くなるものでしょう。それは元通りに修復する妨げになる。このことはいずれ体験を通して理解してくれるようになってほしい。今日のこの講習が、もっとも大切なことだから、ちゃんと復習しておきましょうね。


・・・・・以上!!」

petbotl.jpg

フランクは、見事にいいたいことをまくし立てて語ってくれた。僕は必死に、頭の中にメモを取るのが精一杯だ。

僕が右手を振って、バイバイってサインをしたら、フランクもにっこりとしながらバイバイしてくれて、その日は解散しました。
byby.jpg


2010-03-11 | Comment(0) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

Copyright © コペル からだとの会話 All Rights Reserved.
当サイトのテキストや画像等すべての転載転用・商用販売を固く禁じます
Designed by カエテンクロスSEOテンプレート
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。